2008 Fiscal Year Annual Research Report
電磁場観察・探針導入・微細加工技法を融合させたTEMの先端材料評価法の確立と応用
Project/Area Number |
07J09462
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川本 直幸 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 透過電子顕微鏡法 / 電子線ホログラフイー / 導電性Agペースト / 電磁場観察 |
Research Abstract |
近年、絶縁体のエポキシと導体であるAgの凝集体で構成される導電性Agペーストにおいて、導電機構の基礎的な理解が渇望されている。硬化直後の導電性AgペーストのI-V曲線は非線形であり、所定の電流を通電した後では、オームの法則に従う線形のI-V曲線を示す。このような、通電に伴うI-V特性の不可逆的な変化は、通電に伴う新たな導電経路が形成されることを示唆している。そこで、本研究では、TEM内で薄膜化した導電性Agペーストに、Pt-Ir微小電極により電流を局所的に流し、通電前後で生じる導電性Agペースト内の微細構造・電気抵抗値・電場の変化を評価した。電流1μAを流した結果、電気抵抗値が半分以下に低下し、Agの凝集体の形態がエポキシとの界面で僅かに変化している箇所が確認できた。また、電子線ホログラフィーにより、電圧印加時の導電性Agペースト内の電位分布像の可視化に成功した。通電前後の電位分布像の観察からAgの凝集体の電位を解析した結果、エポキシを介して隣接する一部のAgの凝集体間で電位が等しくなる様子が確認でき、通電により新たな導電経路が形成されると考えられ、Agペーストの導電機構に関わる重要な知見が得られた。 また、TEM内での局所導電性評価手法を金属などの低電気抵抗率の材料に応用するため、ピエゾ駆動2探針ホルダーに四端子回路を敷設した。その結果、抵抗の測定精度が少なくとも10^<-2>Ω以下であり高精度化か達成された。さらに、測定空間分解能を向上させるため、カーボンナノチューブ探針の作製も行い、薄膜試料への安定したポイントコンタクトを実現し、TEM内局所導電性評価手法の高度化が図れた。
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Research Products
(3 results)