2007 Fiscal Year Annual Research Report
脂溶性基質の高効率変換を可能にする新規バイオ酸化反応プロセスの構築
Project/Area Number |
07J09466
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
毛利 剛 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Cytchrome P450 / 補酵素再生 / 複合酵素 / 融合タンパク質 / バイオプロダクション |
Research Abstract |
CytochromeP450は、様々な種類の化合物の酸化反応を触媒し、その特長からバイオレメデイエーションや薬剤開発など様々な分野でその応用が期待されている。しかしながら、P450の触媒反応は、その多くが数種類の酵素を必要とする複合酵素系でかつ高価な補酵素が必要であり、効率的な反応を行うためには、適切な反応場および連続的に補酵素を供給するプロセスが必要である。本研究では、補酵素の再生を触媒する酵素をP450酵素群として連動させることによって、限られた補酵素量で継続的な酸化反応を可能にする反応系および効率的な複合酵素反応系の構築を行う。これまでの検討により、CYP101(P450cam)の触媒する酸化反応に、安価な犠牲試薬(グリセロール)を利用して補酵素再生を行うグリセロールデヒドロゲナーゼ(GLD)を大腸菌内でP450cam酵素群と共存させることにより、継続的かつ効率的な基質の酸化反応系を達成した組換え大腸菌の構築に成功している。 これまでの結果を踏まえ、補酵素再生系を連動させたP450cam酵素群による有用物質生産およびP450cam酵素群とGLDとの融合酵素の構築を行った。具体的には、遺伝子組換えを行うことによって、インジゴを生産できるよう基質特異性を変異させたP450cam変異体(F87W-Y96F)を構築し、GLDの共存下におけるインジゴ生産量についての検討、およびP450cam融合酵素の構築とその活性の検討を行った。F87W-Y96Fを含む大腸菌は、GLDの共存下で大量のインジゴを生産できることが明らかとなり、他の微生物によるインジゴの生産量と比較して、同等以上の結果であった。また、P450cam融合酵素は、多くの融合タンパク質がその活性を失う一方で、その酸化活性を保ったまま融合させることに成功した。これらの検討は、今後様々な有用物質生産に対する応用が可能であり、また多機能な融合酵素と組み合わせることで新たなバイオプロセスの構築とその応用という観点から非常に興味深い。
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Research Products
(5 results)