2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂溶性基質の高効率変換を可能にする新規バイオ酸化反応プロセスの構築
Project/Area Number |
07J09466
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
毛利 剛 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バイオプロダクション / 補酵素再生 / シトクロムP450 / グリセロールデヒドロゲナーゼ / バイオプロダクション / 水素転移酵素 |
Research Abstract |
酸化反応は、有機化合物を合成する上で欠かせない反応の一つである。これまでに、分子内に複数の反応点を有する場合の位置選択性や、穏やかな反応条件の達成等を目的として、多様な酸化触媒について様々な工夫がなされてきた。一方、酵素は基質選択性に優れた天然触媒であり、特にシトクロムP450(P450)は、基質分子内に多数存在するC-H結合を位置選択的に直接酸化することができる重要な酵素であることから、その応用範囲は極めて広い。しかし、P450による酸化反応は、触媒酵素であるP450の他に、P450の活性中心(ヘム)へ電子を供給する電子伝達タンパク質を必要とする複雑な反応系からなり、また、電子供給源として補酵素を必要とするため、その工学的利用は限定されている。従って、P450を実用的な合成触媒として利用するには、複合酵素反応を効率よく促進する系を構築し、さらに補酵素の供給システムを組み込む必要がある。本研究では、P450の更なる可能性を引き出し、その有用性を実証するため、二段階補酵素再生系と連動したシトクロムP450BM3反応場の構築について検討した。P450BM3は、補酵素としてNADHではなくNADPHを利用するため、NADHとNADPH間での水素転移を媒介する酵素(STH)を利用して、GLDとSTHを組み合わせた二段階補酵素再生系の構築を行い、そのP450BM3反応への応用を検討した。その結果、STHとGLDと組み合わせた二段階補酵素再生反応によるNADPHの再生に成功した。さらに、二段階補酵素再成系と連動したP450BM3の酸化反応では、非常に効率よく反応が進行することを明らかにした。また、二段階補酵素再生系において、STHの初期濃度の増加に伴ってNADPHの生成速度が増大したことから、STHによるNADPHの再生が二段階補酵素再生系における律速段階であることが示された。
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Research Products
(2 results)