2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09565
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
及川 真平 Kyoto Institute of Technology, 生物資源フィールド科学教育研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 葉の寿命 / 光合成 / 窒素利用 / 安定同位体 / 炭素 / 窒素転流 / 光 / 窒素要求 |
Research Abstract |
葉の寿命は種や生育条件によって大きく異なる。古くから、葉の枯死を引き起こす主要因として、葉の受光量の低下と、古い葉から新しい葉への窒素転流が提唱されてきた。Oikawa, et. al.(2005,2006)は、これらの両方が葉の枯死に強く関与していることを明らかにした。また、葉の枯死タイミングは、貧栄養条件下では、個体の炭素獲得を最大化するように決定されることが明らかとなった(Oikawa, et. al.2008)。しかし、富栄養条件下では、これらの機構から予測される枯死タイミングは実際のそれよりも遅かった。葉の枯死には、葉間の窒素の転流が密接に関与する。これまでは、転流する側の葉の事情ばかりが着目されてきており、転流される側の葉の事情に着目して葉の枯死タイミングを解析した例がない。葉の生産には、骨格を形成するために炭素もまた多量に必要とされ、葉の生産には窒素の炭素の両方がバランスよく供給される必要がある。そのため、展開中の葉に炭素が十分に供給されない場合は、その葉の窒素の要求量も少ないと予測できる。結果として、たとえ土壌からの窒素供給が少ない場合でも、古い葉からの窒素の回収は促進されず、枯死は遅れるかもしれない。このように、単なる「土壌からの窒素供給の不足」ではなく、「新しい葉における炭素に対する相対的な窒素の不足」が葉の枯死のタイミングを決めると考えた。オオオナモミ群落を2つ作成し、1つを通常の光条件下で生育させ、もう1つは生育途中で被陰した。被陰は光合成速度による炭素供給を減らし、窒素の要求量を低下させた。例え貧栄養条件下であっても、被陰によって炭素供給量が減少した場合には、個葉の枯死が最適より遅くなるのかどうかを数理モデルによって解析中である。また、安定同位体でラベルした窒素(15N)を与えることにより、新葉の窒素要求に対する古葉の窒素供給の貢献を定量した。近日中に分析が終了する予定である。
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Research Products
(2 results)