2008 Fiscal Year Annual Research Report
ハーネシングに着想を得た創発的動歩行制御-パルス化CPGを用いた適応的動歩行生成-
Project/Area Number |
07J09572
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大脇 大 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 実時間適応的歩行生成 / パルス化CPG / ハーネシング / 運動安定化と運動探索 / マルチリズミックオシレータ / オンライン学習 |
Research Abstract |
本研究は,ヒトの歩行運動の発現原理を解明すると同時に,歩行ロボットの新たな設計原理を構築することを目指し,パルス化CPG(Pulsed-CPG)を用いた実時間適応性を有する歩行ロボットの実機による実現を目的としている.H20年度は,本研究で提唱するハーネシングに着想を得た歩行生成を実現するため,CPGを構成するオシレータモデルに立ち戻り再検討を試みた.特に,運動安定化機能のみならず運動探索機能に着目し,位相調整のみならず周波数調整をも可能なマルチリズミックオシレータモデルを提案した. 既存のCPGを用いた歩行制御は,CPGの引き込み能力を活用したオシレータの位相調整による運動安定化についてのみ議論している.一方で,生物学的知見として,特殊なトレッドミル上に除脳ネコを置き一脚のみを異なる速度で歩行させても,対応する脚のオシレータの周波数を変化させ適した運動パターンを獲得することが確認されている.この実験が示唆するように,運動安定化だけではなく運動探索もCPGが具備すべき重要な特性である.CPGに運動探索機能をも実装することで,未知の環境下においても新奇な運動パターンを動きながら探索(学習)するオンライン学習(learning while moving)が期待できる. 本研究では,一次元ホッピングロボットの跳躍運動学習を採り上げ,提案モデルの妥当性を検証した.シミュレーションの結果,(i)初期状態からの跳躍運動学習,(ii)ロボットの力学的特性(質量,バネ特性など)の変化に応じた自律的な発振周波数の調整(運動探索),(iii)定常状態から外乱を与えた場合に対する定常状態への復帰(運動安定化)の実現が確認された.この結果は,提案モデルがパルス化CPGとしての機能を十分満たしており,歩行ロボットの創発的動歩行制御を実現しうるCPGモデルであることを示唆している.
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