2007 Fiscal Year Annual Research Report
ワークフェアの実態把握と政策評価-就労支援・所得保障政策の再構築に向けて
Project/Area Number |
07J09577
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小林 勇人 Ritsumeikan University, 大学院・先端総合学術研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 雇用政策 / 福祉改革 / ワークフェア / 就労義務 / 公的扶助 |
Research Abstract |
本研究は、第一に、2006年度のニューヨークへのフィールドワークを基に、ワークフェアの現代的特徴を「管理」として捉えて分析するとともに、雇用可能であるが就労困難な福祉受給者がどのようにして職に就くことを求められるのかの一端を明らかにした。またTANF再承認後のワークフェアの動向をアメリカ全体の社会福祉のなかに位置づけるとともに、ワークフェアの本質が福祉権を要求する運動を封じ込めることにあることを指摘した。他方で、ワークフェアのアメリカからイギリスへの普及について「政策移転」の観点から分析するとともに、歴史を振りかえることによって所得保障構想とワークフェアの関連についても考察を行った。 第二に、これまでの研究成果を博士論文に取りまとめて2008年3月に「ワークフェアの起源と変容-アメリカにおける福祉改革の動態についての政策分析」と題して提出した。序章では、国内外の先行研究を踏まえたうえで、ワークフェアの普及と強化が補完的に進行していくという仮説をたて「政策移転」の分析視角を打ち出した。第1章から第4章では、1960年代から1970年代初頭までのAFDC政策を基に、ワークフェアの起源を明らかにした。第5章では、カリフォルニア州の事例をもとに、1970年代から1980年代にかけてのワークフェアの変容を分析し、第6章では、ニューヨーク市の事例をもとに、1990年代のワークフェアの特徴を考察した。他方で、第7章で、ワークフェアがイギリスに普及するなかでどのように変容したのかを論じ、終章では、日本への政策的含意を述べた。
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Research Products
(6 results)