2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジアリルエーテル天然有機化合物の機能解明と合成法開発
Project/Area Number |
07J09587
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田邊 貴將 Keio University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タリウム酸化 / 陽極酸化反応 / 新規触媒反応 / 1,2転移反応 / 電解活性化反応 / 陰イオン交換膜 |
Research Abstract |
創薬研究および高度に設計された有機素材の開発段階に必要とされる各種反応試薬は毒性が高く、また大変高価であるために触媒化が望まれている。電気化学的手法を用いた有機素材(薬や液晶材料等)の開発は、環境低負荷型の反応として注目されている。我々は、高い反応選択性および反応性を有する反応試薬を電気化学的に再利用するリサイクルシステムを開発することを目的に、反応試薬の電気化学的挙動およびその再利用評価について検討を行った。 反応試薬としてタリウム酸化剤を利用し、電気化学的活性化条件を検討した。有機溶媒条件での活性化は、メタノールを主溶媒とした条件で活性化に成功した。中性の温和な条件における均一溶解性を持つタリウム酸化剤の電気化学的発生法として有力な方法論をこれにより確立した。さらに、タリウム酸化剤特有の有機化学反応のひとつである1,2転移反応を含む環拡大反応・環縮小反応を利用し、発生したタリウム酸化剤の活性について評価を行った。環拡大反応に関しては、多くの基質に関して良好な反応性を示した。環縮小反応では、基質の適応範囲が狭いため有効性を評価するに至らなかった。本反応検討により、活性化したタリウムの活量およびその適応範囲についての知見を得た。触媒反応を達成するためには、タリウムと基質(フェノールやオレフィン化合物等)を分離して選択的にタリウムのを酸化する必要がある。東工大淵上教授らによりこ固体担体に基質を担持することにより電解反応不活性化が達成されることが報告されている。本手法に基づき、固相に基質を担持し電解反応より分離した上で化学量論量の活性化タリウムを作用させて、その反応性について調べた。その結果、目的とする環拡大反応が中程度の収率で進行することが明らかとなった。現在、触媒化へ向けて本反応の収率向上を検討している。
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Research Products
(4 results)