2007 Fiscal Year Annual Research Report
天体衝突により発生する衝突蒸気雲内における触媒反応
Project/Area Number |
07J09622
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石橋 高 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 天体衝突 / 衝突脱ガス / 炭酸塩 |
Research Abstract |
本研究は、天体衝突に伴う惑星表層からの脱ガス現象の解明を目標としている。「衝突脱ガス」は、惑星の表層環境に影響を与える重要な現象である(e.g.,生命の起源、生物大量絶滅)。従来の衝突脱ガスの研究では、脱ガス量は天体衝突時に発生する衝撃波が通過した後に達成される衝撃圧により、一意に決まるとされてきた。しかし近年、衝突クレーター堆積物の分析から、衝撃圧からの圧力解放過程において起こる現象が脱ガス効率に寄与している可能性の報告がされている。そこで本研究では衝撃圧状態からの解放過程に注目して、衝突脱ガスの見直しを行っている。現在は、地球上に多量に存在する炭酸塩(CaCO_3)からのCO_2の衝突脱ガス現象に注目している。まず、炭酸塩(CaCO_3)からのCO_2の衝突脱ガスの描像を、熱力学的手法を用いて見直した。衝撃圧からの解放が断熱等エントロピー過程であることに着目し、衝撃波の通過により増加するエントロピーと、CaCO_3の状態変化に必要なエントロピーを計算し、両者を比較した。その結果、衝撃圧の大きさにより、解放過程は(a)圧力解放後に固体のCaCO_3からCO_2が脱ガス、(b)圧力解放後にメルトのCaCO_3からCO_2が脱ガス、(c)衝撃波通過直後にCaCO_3が分解の3タイプに分類できることがわかった。(必要な衝撃圧は(a)(b)(c)の順に高くなる。)それぞれの圧力解放過程ごとに脱ガス機構が異なるため、従来考えられていた衝突脱ガスの描像では、脱ガス量は正しく求めることができないことが明らかになった。この結果を受け、それぞれの圧力解放過程からの脱ガス効率を求めるため、CaCO_3の「熱分解実験」および「逆反応実験」を行うための化学反応実験装置の構築を行い、現在データを取得中である。
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Research Products
(2 results)