2007 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ会合体の表面化学修飾による機能性ナノ粒子の合成
Project/Area Number |
07J09630
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 隆嗣 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 単一分子観察 / 実時間観察 / 透過型電子顕微鏡 / カーボンナノチューブ / ホウ素クラスター / 構造変化 / 化学修飾 / 素反応過程 |
Research Abstract |
本研究では有機小分子をカーボンナノチューブの空孔に固疋化することで透過型電子顕微鏡を用いて画像化できた。本研究はカーボンナノチューブを化学修飾することで機能性分子の合成を目的として、主に外側表面の化学修飾を検討していた。その過程で化学修飾カーボンナノチューブが分子を内包できることに注目し、透過型電子顕微鏡で画像化することを着想した。 透過型電子顕微鏡(TEM)は原子分解能を有することから、単一の有機小分子を画像化する試みがなされていたが、有機分子を固定する入れ物がないことや、有機分子は電子線照射下で分解すると信じられていたことから達成されていない。本研究ではカルボランを標識分子としてアルキルカルボランを設計・合成した。これらのアルキルカルボランは酸化開口処理したカーボンナノチューブ内に気相で導入し、TEM観察することで顕微鏡像を得た。その結果、顕微鏡像から球状のカルボランとアルキル鎖を見ることができシミュレーションとよく一致した。さらにコントラストの解析、およびエネルギー損失分光分析によってアルキルカルボランの観察が支持された。分子は1分程度安定に存在し、分解することなく観察された。 さらにこの観察の中でアルキル鎖の構造変化を観察することができた。カーボンナノチューブは直径の異なるチューブの混合物であるため太いチューブの中に存在するアルキルカルボランは運動することができる。単一分子を連続して観察した結果、分子は連続的に構造変化するのではなく状態から状態へと離散的に変化していることがわかった。さらに分子の並進運動や、アルキル鎖とカーボンナノチューブとの相互作用を観察することができた。 本研究は分子を直接画像化できたことから分子の素反応過程、分子と分子の相互作用から生まれる摩擦の機構、単一分子の量子力学的振る舞い、といった広い学術領域に影響を与えると考えられる。
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Research Products
(7 results)