2007 Fiscal Year Annual Research Report
架橋反応を利用した生体吸収性HA/PLA複合材料の機械的特性および破壊靭性改善
Project/Area Number |
07J09641
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高山 哲生 Kyushu University, 応用力学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生体吸収性材料 / 機械的特性 / 破壊靭性 / 架橋反応 |
Research Abstract |
平成19年度の研究では,骨の主成分であり生体親和性に優れるハイドロキシアパタイト(HA)および生体吸収性に優れるポリL乳酸(PLLA)を複合化した材料を作製した.HA/PLLAの機械的特性・破壊靭性の最適化を目的として粒径がマイクロ(平均粒径:5μm)とナノ(平均粒径:100nm)の2種類を用意し,HA粒径の違いが機械的特性・破壊靭性および破壊メカニズムに及ぼす影響について調べた.また,HA/PLLAの界面強度の向上を目的としてリジントリイソシアネート(LTI)を添加した材料を作製し,機械的特性評価ならびにミクロ構造および破壊メカニズムの関係について考察した.得られた結果は以下の通りである. (1)HA粒径の最適化 HA粒径がHA/PLLAの機械的特性・破壊靭性に及ぼす影響を調べるためにマイクロおよびナノを5,10,15wt%分散させた材料を作製し,機械的特性・破壊靭性評価を行ったところ,マイクロの方がHA粒子の分散性が良く,機械的特性・破壊靭性にも優れることがわかった.また,マイクロとナノを複合して粒径分布のバイモーダル化を試みたところ,マイクロとナノの割合を1:1で混合した場合,その機械の特性・破壊靭性はモノモーダルの場合よりも優れた値を示すことがわかった.これはバイモーダル化することによってナノの分散性が改善され,それによりマイクロの界面剥離が抑制されたためと考えられた. (2)HA/PLLA/LTI複合材料 HA/PLLAの界面強度を改善するために,HAを10wt%分散させた材料についてLTIを1および2phr添加した材料を作製して機械的特性・破壊靭性に及ぼす影響について調べた.LTIを添加しさらにその添加量を増加させることによって機械的特性・破壊靭性は増加する傾向を示した.構造観察の結果,LTIを添加することによって界面強度が改善され,それにより界面剥離による応力集中が抑制されさらにPLLAが架橋化しより強固な構造を形成するため,結果として機械的特性・破壊靭性が改善されたと理解できる.
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Research Products
(17 results)