2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09646
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
我部 聖 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 沖縄 / 占領 / 戦争 / 記憶 / 沖縄文学 / 日本語文学 / 植民地主義 / 岡本恵徳 |
Research Abstract |
今年度は、本研究「戦後日本語文学における歴史認識」で中心的に論じる、戦後沖縄文学を代表する文学者の岡本恵徳に関する調査・研究の成果を発表した。 まず「沈黙と記憶-岡本恵徳の言葉をめぐって」(『うらそえ文藝』第12号)では、岡本の言及する「沈黙」への考察を行なった。また岡本恵徳の年譜、著作目録を作成するために、都内では、沖縄関係資料を所蔵する法政大学沖縄文化研究所、国立国会図書館、早稲田大学図書館を、沖縄県内では、沖縄県公文書館、沖縄県立図書館、琉球大学附属図書館を利用して、資料調査を行なった。その成果は、2007年8月に未來社より刊行された岡本恵徳著『「沖縄」に生きる思想-岡本恵徳批評集』に「岡本恵徳年譜」「岡本恵徳著作目録」として収録された。またこの本に関しては、編集委員として、本に収録される作品の案を作成するとともに、解説を執筆した。 そしてこの本の刊行に合わせて、2007年9月1日に沖縄大学にて開催された「岡本恵徳連続シンポジウム岡本恵徳と沖縄・文学」のコーディネイターをつとめた。このシンポジウムでは、小説家の目取真俊や崎山多美、文芸批評家の平敷武蕉がパネリストとして参加し、岡本恵徳の小説、文体、思想について広く議論し、百名近い参加者を集めた。 また、岡本が池沢聰のペンネームで発表した小説「ガード」(1955年)について、「継続する戦争への抵抗-池沢聰「ガード」論」を執筆した。さらに、これまでの岡本恵徳に関する研究成果を「岡本恵徳試論-戦争・記憶・沈黙をめぐって」としてまとめて、『沖縄文化研究』第34号に掲載された。こうした一連の岡本恵徳に関する研究によって、沖縄の戦後文学・思想研究に新たな視点を提示することができた。 なお、2007年11月にアメリカのミシガン州立大学にて行なったアメリカ占領下の琉球大学に関する資料調査については、来年度にその成果を発表する予定である。
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Research Products
(4 results)