2009 Fiscal Year Annual Research Report
Rab GTPase Sec4pと、そのエフェクターによる開口放出制御の構造基盤
Project/Area Number |
07J09655
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 裕介 The University of Tokyo, 放射光連携研究機構, 助教
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Keywords | X線結晶構造解析 / ユビキチン |
Research Abstract |
Sec4pとそのエフェクターに関する研究については複合体の結晶を得ることができず進捗がなかった。一方、平行して昨年度実施したRAP80及びTAB2・TAB3によるK63結合型ポリUb鎖特異的認識機構についての研究は、結晶構造からそのメカニズムを明らかとし成果は学術誌に掲載された。 ユビキチン(Ub)は76残基からなるタンパク質で、標的タンパク質のリジン残基とイソペプチド結合を介して結合することでタンパク質の機能を制御する。また、結合したUbのリジン残基にさらにUbが付加して形成されるポリUb鎖によって標的タンパク質の機能を制御することも多く、この場合どのリジン残基を用いてポリUb鎖を形成するかでその役割は異なってくる。細胞内で最も多く存在しているのはK48結合型のポリUb鎖でプロテアソームによる分解シグナルとして働く。一方、K63結合型ポリUb鎖はプロテアソーム系ではなく、タンパク質合成、受容体の分解、DNAの修復、免疫や炎症に関わる細胞内シグナル伝達といった様々な生命現象に関与する。例えば、K63結合型ポリUb鎖はDNA二重鎖切断が生じた部位に形成され修復シグナルとして働き、RAP80はK63結合型ポリUb鎖を認識し、様々な修復酵素をDNA損傷部位へと集める働きを持つ。また、TNFαなどのサイトカインの刺激によりK63結合型ポリUb鎖が形成され、TAB2・TAB3がK63結合型ポリUb鎖を特異的に認識することで最終的にNF-κBシグナルが活性化される。我々はRAP80及びTAB2・TAB3のK63結合型Ub二量体の複合体の結晶構造をそれぞれ決定し、Lys63結合型ポリUb鎖の特異的認識メカニズムを明らかにした。この成果はどちらも「The EMBO Journal」に掲載された。
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Research Products
(13 results)