2007 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ都市路上商人の多面的な生計実践とその創造性にかんする都市人類学的研究
Project/Area Number |
07J09676
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 さやか Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 路上商人 / 共同性 / 価値規範 / タンザニア / スーダン / 商慣行 / 文化人類学 / 暴動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、アフリカの都市路上商人の多面的な生計実践とその創造性を、路上商人と彼らを取り巻く多様なアクターとの相互行為のあり方に着目して考察することを通して、路上商人のミクロな生計実践がいかにして当該社会の文化、経済、社会、政治の再生産・再構成に寄与しているのかを実証的に明らかにすることにある。平成19年度には「行為」に焦点を当てて新たな価値理論を提唱している人類学者D.グレーバーの『人類学的価値理論の構築に向けて』の共訳書の出版に向けた翻訳作業をおこなった。この共訳書は本年度には以文社から出版予定である。8月には、調査対象である東アフリカ商人の南部スーダンへの流入が、平和協定後の南部スーダンの急速な市場経済化や漸次的な戦後復興に及ぼす影響について予備的な調査をおこなった。9月には2006年3月に起きたタンザニアの都市路上商人による暴動について、その背景と暴動後の政策および商慣行の変化を調査した。その結果、必ずしも暴動は路上商人個々の経済的利便性の追及や政府への不服従の表明ではなく、路上という社会空間を再構成する契機としても発動されていることが明らかになった。この成果は、本年度5月に開催されるアフリカ学会および文化人類学会にて口頭発表をおこなう予定であり、また現在、投稿論文を執筆中である。平成19年度下半期には、ドキュメンタリー映画「ダーウィンの悪夢」を映画の舞台となった調査地の人々の批評から検討した論文を投稿した。この小論では地域の複雑な問題群を「グローバル化/南北格差の悲劇」として表象することの問題点を指摘した。また都市の日常実践と社会関係からタンザニアのポピュラー音楽の発展を読み解く論文を執筆し、現在印刷中である。
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Research Products
(2 results)