2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子の構造変化が結晶の表面モルフォロジー変化を誘起する際に寄与する協同効果の解明
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07J09699
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
黒木 瑠美 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フォトクロミズム / フォトメカニカル挙動 / 混晶 |
Research Abstract |
本研究はフォトクロミック分子の異性化による幾何構造変化を利用したナノアクチュエーターの構築を目指し、一分子の幾何構造変化がマクロな材料変形へと繋げる上での必要条件を解明するものである。平成20年度は結晶内における異分子が材料変形へ与える影響を調べることを目的とし、任意の組成比の結晶を作製できる混晶系の開発とその光誘起形状変化の観測に着手した。平成21年度は、新たにジアリールエテンを合成し、その形状変形について検討を行った。また、この分子を用いた混晶の作製に関しても検討を行った。 固相における相溶性を持たせること、および、混晶中において特定の成分のみを光反応させることを目的として分子を設計し、平成20年度に用いた分子と同様の骨格を持ち、ヘテロ芳香族環をオキサゾール環としたジオキサゾリルエテンを合成した。この分子は溶液中で橙色へのフォトクロミズムを示し、着色体の吸収波長はジチエニルエテン、ジチアゾリルエテンに比べ短波長にシフトした。ヘキサンからの再結晶で生成したブロック状の結晶は橙色へのフォトクロミズムを示した。得られた結晶を昇華させることによって厚みがナノメートルオーダーの結晶を得た。昇華結晶は紫外光照射によりフォトクロミズムを示したが、フォトクロミズムに伴う形状変化は確認できなかった。 この化合物と、同様の構造を持ったジチアゾリルエテン、ジチエニルエテンとの混晶の作製を検討したところ、ジオキサゾリルエテン-ジチアゾリルエテン、ジオキサゾリルエテン-ジチエニルエテンそれぞれに関して、二成分結晶を形成することを確認した。
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