2007 Fiscal Year Annual Research Report
光機能金属酸化物の表面構造、電気及び電子特性に関する量子化学的研究
Project/Area Number |
07J09754
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
呂 晨 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | n型透明導電材料 / p型透明導気材料 / アナターゼ酸化チタン(001)表面 / 色素分子 / 吸収スペクトル / アナターゼ(001)面の電子の移動度 / tight-binding量子分子動力学法 / 第一原理量子化学法 |
Research Abstract |
本研究は、光機能材料の物理・化学的性質のうち特に重要な性質である電子状態、光学特性、電気伝導特性および励起状態ダイナミクスに焦点をあて、光電子デバイスのプロセス・デバイス設計に資する指針を与える目的で理論的な研究を行ったものである。さらに、光機能材料の設計に資する現実的大規模系の解析のために、新規シミュレータを開発と応用にも挑戦している。1.透明導電性材料に関する理論的研究:本研究では、Tight-Binding量子分子動力学法を用いて、透明導電材料であるITO(Sn doped In_2O_3)に対する電子、光学、電気特性を解析している。母体In_2O_3中のSnが酸素欠陥と複合してドナーとなることを示すとともに、n型透明導電材料の伝導メカニズムを明らかにすることに成功している。また、ITO中のSnをZnに置換した場合の効果をTight-Binding量子分子動力学法によって調べている。電子状態の解析結果から、Znドーピングによりp型の伝導性が得られることが示唆された。さらに実際に電気伝導特性を調べることで伝導メカニズムの解明にも成功している。2.光機能材料酸化チタン表面構造及び色素/酸化チタン界面の光学特性の解明:本研究では、光触媒に用いられるアナターゼTiO_2の電子・光学特性を、Tight-Binding量子分子動力学法を用いて解析している。TiO_2の膜厚を変化させ、キャリア移動度、吸収スペクトルを評価した結果から、光活性の観点から最適な膜厚の存在を明らかにしている。色素増感型太陽電池用アナターゼTiO_2(001)面における有機色素分子の結合モードを第一原理量子化学計算を用いて明らかにしている。さらに、Tight-Binding量子分子動力学法を用いて、色素が吸着したTiO_2表面の大規模系に対する光学特性を理論的に明らかにすることに成功している。以上、本研究は大規模系における電気特性および光学特性を検討可能な新規手法を開発し、透明導電材料、色素増感太陽電池を具体例としてその有効性を実証することに成功している。
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Research Products
(12 results)