2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09759
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤中 裕二 Osaka University, 社会経済研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | メカニズムデザイン / 公平分担問題 / 非分割財 / 誘因両立性 / 経済実験 |
Research Abstract |
本研究は公共財の供給メカニズムに関する研究であり,特に公共施設の立地問題に関わるメカニズムについて焦点を当てる.ここで問題となるのは,1.効率的な公共施設の立地,そして公平な費用負担は可能か,2.公共施設の受け入れ候補地域が公共施設からの利益(不利益)を正直に申告するか、である. まず、効率性と同一選好下限性を満たすかなり広いクラスの同時手番メカニズムを検討した。そのメカニズムでは嘘の申告をするインセンティブがあることが知られているが、嘘の申告の結果、効率性と非羨望性という公平性が実現することが明らかになった。つまり、たとえ嘘の申告が行われても、その結果として起こる配分は望ましく、戦略的な選好の虚偽表明は大きな問題を引き起こさないということが言える. 上記の結果は、完備情報のもとでの結果であるが、不完備情報のもとでの同時手番メカニズムの設計についても検討した。そして、効率性と非羨望性とベイジアン誘因両立性(他人の正直申告を所与として,正直申告が期待利得を最大化する性質)を満たすメカニズムが存在することを明らかにした.つまり,そのメカニズムにおいては、正直に利益が表明され、良い配分が実現する。ただし,このメカニズムにおける費用負担ルールは非常に複雑であり,現実的な政策としてこのメカニズムを採用できるかについては疑問が残る.そこで,メカニズムが実際に機能するかを検証するための経済実験を行った。このメカニズムにおいては、他のメカニズムに比べると多くの正直申告が行われるが、その差は十分ではない。今後も経済実験を行い、より多くのデータを収集し、メカニズムの実用可能性について検討したい。
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Research Products
(1 results)