2007 Fiscal Year Annual Research Report
海綿由来多剤耐性克服物質ISAsの活性発現メカニズムの解析
Project/Area Number |
07J09814
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江村 智佐登 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多剤耐性 / 海綿 / Ircinia sp. / 脂肪酸 |
Research Abstract |
多剤耐性克服物質として海綿Ircinia sp.より発見されたIrciniasulfonic acids (ISAs)およびISAs-Bについて、活性発現メカニズムの解析を行うために、それぞれdeacyl体の合成を行なった。2001年にISAsが報告されたとき、deacyl体の方がISAsよりも強い活性を示したと報告されていたが、合成したdeacyl体には活性がないという結果が得られた。天然物での活性試験の結果とは異なる結果となってしまったが、このことから、天然からは微量しか得られない活性成分について、化学合成を行ない、活性を確認することの重要性が明らかとなった。 Deacyl体に活性がないことから、耐性克服活性の発現にISAsの9位にある長鎖脂肪酸の影響が考えられた。そこで、合成したdeacyl ISAにステアリン酸(C18)をエステル化させたISA誘導体を合成し、活性の評価を行なった。その結果、天然のISAsと同程度の活性が確認された。また、2位の幾何異性がE体の化合物についても同様の結果が得られた。さらに、側鎖の脂肪酸の長さの違いによる活性の変化について検討するために、C4,C8,C14の脂肪酸のISA誘導体をE体のdeacyl ISAを用いて作製した。活性試験の結果、C4では活性がなかったが、C14では天然物とほぼ同程度の活性が見られた。 ISAs-Bについても、ISAsと同様に、deacyl体および数種の脂肪酸をエステル化させたISA-B誘導体を合成し、deacyl体に活性がなく、C14、C18の脂肪酸を側鎖に持ったISA-B誘導体で活性が発現した。この結果より、α,β-不飽和カルボニルがエステル結合もしくはアミド結合であるかどうかは活性には影響しないことがわかった。
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Research Products
(1 results)