2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09825
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野 利和 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高分子電解質 / ゲル / 有機溶媒 / 高吸収性樹脂 / 浸透圧 |
Research Abstract |
オイルや揮発性有機化合物を効率よく回収可能な材料の開発は、環境保全の観点から社会的に強く求められている。本研究では親油性イオンを導入した高分子電解質ゲルを合成し、イオン解離による静電的な反発と浸透圧によって大きな膨潤を示す「有機溶媒の高吸収性樹脂」の開発を目的とした。 前年度までに、長鎖アルキルアンモニウムカチオンとテトラフェニルボレート誘導体アニオンからなるアクリル酸エステルモノマーを合成し、これとオクタデシルアクリレートとの架橋共重合体(親油性高分子電解質ゲル)がジクロロメタンやクロロホルムなどの非極性有機溶媒中で自重の数百倍の高吸収能を示すことを明らかとした。しかしながら、トルエンやヘキサンなどの炭化水素系溶媒中(比誘電率が3未満)では、イオン解離が困難であり、これらの溶媒中では依然自重の百倍を超える高吸収性樹脂の開発は達成できていなかった。 本年度は、この問題を解決する方法として、極性溶媒であるエタノールを添加することを行った。混合溶媒として極性をイオン解離可能なまでに高めることで、静電反発、浸透圧の発生により炭化水素系溶媒に対しても高い溶媒吸収能を示すことを期待した。 結果として、エタノールの体積割合を20%程度とすることで、親油性高分子電解質ゲルが、トルエン、シクロヘキサン、石油エーテル、ケロシンなどの炭化水素溶媒を自重の百倍を超える溶媒吸収能を示すことを明らかとした。溶媒の誘電率と膨潤度をプロットすると、溶媒の誘電率が大きくなるに従い、ゲルの膨潤度が増大しており、イオン解離が進行するためであると考えられる。以上のように極性溶媒との混合溶媒を用いることで、本研究課題である高吸油性ゲルとして機能することを見出した。
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Research Products
(5 results)