2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09825
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野 利和 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高分子電解質 / ゲル / 有機溶媒 / 高吸収性樹脂 / 浸透圧 |
Research Abstract |
1.緒言 オイルや揮発性有機化合物を効率よく回収可能な材料の開発は、環境保全の観点から社会的にも求められている。本研究では親油性イオンを導入した高分子電解質ゲルを合成し、イオン解離による静電的な反発と浸透圧によって非極性有機溶媒中でも大きく膨潤する材料の構築を目的とした。 2.実験 長鎖アルキル第四級アンモニウムカチオンとテトラフェニルボレート誘導体アニオンからなるアクリル酸エステルモノマーを合成し、これとオクタデシルアクリレートとを架橋共重合することで親油性高分子電解質ゲルを得た。 3.結果と考察 ゲルを様々な有機溶媒に浸漬し、吸収した溶媒量を算出したところ、ジクロロメタンやテトラヒドロフラン、クロロホルムを自重の100倍以上、架橋密度を減らすことで最大300〜500倍もの高膨潤性を示す材料の作製に成功した。塩存在下での膨潤挙動の観測、参照サンプルとして合成した非イオン性ゲルと比較することで、有機溶媒中でのイオン対の解離に起因する高分子鎖間の静電反発やゲル内部との浸透圧が強く働いていることを明らかとした。 また合成した親油性高分子電解質ゲルに関して、有機溶媒の良溶媒と貧溶媒との混合溶媒中での膨潤挙動を詳しく調べたところ、トルエン-メタノール混合溶媒中、テトラヒドロフラン-酢酸エチル混合溶媒中で不連続体積変化が起こることを明らかとした。 以上本年度の研究により、有機溶媒中で高い膨潤能を示す高分子電解質ゲルの構築が可能であることを明らかとした。また、有機溶媒の混合溶媒を用いることで刺激応答性材料へと展開可能なことも明らかとした。
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Research Products
(12 results)