2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09825
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野 利和 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高分子電解質 / ゲル / 有機溶媒 / 高吸収性樹脂 / 浸透圧 |
Research Abstract |
オイルや揮発性有機化合物を効率よく回収可能な材料の開発は、環境保全の観点から社会的にも強く求められている。本研究では親油性イオンを導入した高分子電解質ゲルを合成し、イオン解離による静電的な反発と浸透圧によって大きな膨潤を示す「有機溶媒の高吸収性樹脂」の開発を目的とした。 長鎖アルキル第四級アンモニウムカチオンとテトラフェニルボレート誘導体アニオンからなるアクリル酸エステルモノマーを合成し、これとオクタデシルアクリレート(C18)、ヘキサデシルアクリレート(C16)、ドデシルアクリレート(C12)、ヘキシルアクリレート(C6)とを架橋共重合することで親油性高分子電解質ゲルを得た。 有機溶媒として、ヘキサン、トルニン、クロロホルムなどの極性の低い溶媒から、アセトン、ニタノール、メタノール、DMFなど130種類を用い、それぞれの溶媒中でゲルの膨潤特性を検討した。結果として、20種類を超える有機溶媒に対して自重の百倍を超える高吸収能を示すゲルの作製に成功した。塩添加効果、非イオン性の参照ゲルとの比較より、またその優れた膨潤特性はイオン解離に起因する静電反発や浸透圧による効果であることが示された。これら一連の結果より、溶媒と相溶性の高い高分子鎖を選択するとともに、その溶媒中で解離する電解質を高分子鎖に組み込めば、高吸収能を示す高分子電解質ゲルの作製が可能になることが示された。「有機溶媒に対する高吸収性樹脂」のオーダーメイド化も可能になると思われる。
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Research Products
(8 results)