2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ誘電分極現象と有機FET・有機分子素子特性に関する研究
Project/Area Number |
07J09877
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田村 亮祐 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機電界効果トランジスタ / 強誘電体 |
Research Abstract |
有機FETの性能を制御するには、チャネルに蓄積する注入電荷を変えることが重要である。本研究では、絶縁膜の自発分極の作る電界に注目し、去年度までに、有機FETをMaxwell・Wagner効果素子と見立て、絶縁膜の自発分極と有機FETのチャネルに蓄積する電荷の関係を解析するともに、絶縁膜に強誘電性の高分子であるフッ化ビニリデンと4フッ化エチレンの共重合体を用いたペンタセンFETの評価を行ってきた。その結果、伝達特性や容量・電圧特性においてヒステリシスを観測し、自発分極によりチャネルに蓄積する電荷の量が変わることを明らかにしていた。更に、自発分極と閾値電圧などのパラメータとの関係を定量的に理解するには、第一に自発分極が有機膜内に形成する電界の明確化、第二に自発分極がキャリヤの走行する様子に与える影響の明確化に取り組む必要がある。そこで、光第二次高調波発生(SHG)を利用した評価技術を用いて強誘電性の絶縁膜を持つペンクセンFETの評価を実施した。 まず、ペンタセン膜内の電界分布をベクトル的に評価することに取り組んだ。そのために、基本光の入射方向を工夫し、チャネル長方向の電界によりSHGが誘起される場合と試料の膜厚方向の電界によりSHGが誘起される場合のSHG強度分布を評価できるよう光学系を構築し、測定を行った。その結果、膜厚方向の電界が誘起するSHG強度分布だけが自発分極によって変化することがわかり、自発分極は有機膜内に膜厚方向にみに電界を形成することを明らかにした。次いで、時間分解顕微SHG(TRM-SHG)測定による評価を実施した。その結果、キャリヤが注入される様子、輸送される様子のいずれも自発分極に依存して変化することがわかった。観測された変化は、自発分極が形成する電界に因ると説明されるものであった。以上から、自発分極が作る電界によってキャリヤが注入される様子や輸送される様子がどのように変化するか明らかにすることが出来た。
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Research Products
(11 results)