2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09982
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大内 紀知 Tokyo Institute of Technology, 大学院・社会理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | イノベーション / キヤノン / 新機能創出 / 技術の多角化 / 学習 / スピルオーバー / システム・ダイナミックス |
Research Abstract |
経済が成熟したことに加え、ITによって起こったパラダイムシフトにより、イノベーションのスポットが供給者から消費者へ移行する中で、企業は、従来型の規模拡大に依存した成長モデルから、新機能創出を梃子とした成長モデルへのシフトが求められている。しカし、その新機能創出のメカニズムは未解明の部分が多い。本研究では、多くの日本企業が収益の低迷に苦しむ中、持続的に高収益を達成しているキヤノンに注目し、『高収益を達成するための新機能創出メカニズム』を解明・明示化することを目的とした。新機能創出メカニズムの解明のために、自社技術、外部技術、市場の自己増殖性の内生化に焦点を当て、新たな計量モデルを開発し以下の実証分析を行った。 1.キヤノンの複写機における学習の共有によるカラー複写機のコスト削減効果の分析 2.カラー複写機の価格の支配要因の分析 3.キヤノンとリコーの特許ストックのデータを算出し、普及モデルを用いた新機能創出タイミングの比較分析 4.キヤノンとリコーの同化能力の比較 5.キヤノンとIT市場の共進化分析 6.システム・ダイナミックスを用いたシミュレーション これらの分析から、キヤノンが高収益を達成している要因は、 1.コア技術を生かした多角化による自社技術の有効活用 2.高い同化能力による、外部技術を有効活 3.市場の自己増殖性を触発し、競争相手を介して外部技術を内生化 によって持続的に新機能を創出するメカニズムを構築したことにあることを明らかにし、ポスト情報化社会に向けた新たな企業の成長モデルへの重要な示唆を与えた。
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Research Products
(8 results)