2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒョウモントカゲモドキをモデルとした爬虫類トカゲ亜目における脂質代謝機構の究明
Project/Area Number |
07J10006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 恵介 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | PPAR / UCP / 脂質代謝 / 爬虫類 |
Research Abstract |
爬虫類の環境適応を考える上で、絶食に耐性があり年間という長い時間間隔でエネルギー収支の調節が可能である点は極めて興味深い。その背景となる分子的基盤を明らかにするにあたり、爬虫類における脂質代謝の研究は必須であるが、あまり行われていなかった。 そこで、前年度はヒョウモントカゲモドキにおいて爬虫類では未同定であった脂質代謝関連因子PPAR・UCPの同定を試みた。その結果、PPARに関しては哺乳類で存在が知られていた3種のサブタイプPPARα・β・γ全て、一方UCPに関してはUCP2・3が同定された。また、ヒョウモントカゲモドキと同じく有鱗目に属するグリーンアノルのゲノムデータベースを用いた解析からUCP1が爬虫類において欠損していることが示された。 こうした中今年度は、脂肪体・尾の脂肪組織などの脂肪蓄積部位を中心に、脂質代謝関連遺伝子(PPARα・β・γ、UCP2・3、プロラクチン受容体、甲状腺受容体α・β)の飢餓刺激に対する発現変動を競合的PCR法により定量後、解析を行った。その結果、飢餓群の大腸において有意なPPARγの減少がみられた。また、各種遺伝子の発現量の相関関係を解析した結果、脂肪体ではPPARαが尾ではPPARβがそれぞれUCP2の発現を制御している可能性が示唆された。これらは爬虫類でこれまで知られていた特異的な現象、餌の乏しい時期の腸管の縮小、尾への脂肪蓄積と関連していると考えられる。今回の研究結果は、爬虫類におけるエネルギー調節機構を考える上での重要な第一歩となるだろう。
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Research Products
(2 results)