2007 Fiscal Year Annual Research Report
強力な殺虫活性を有するThiersinine AおよびBの全合成研究
Project/Area Number |
07J10019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森田 暁 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Thiersinine A, B / 殺虫活性 / 全合成 / 構造活性相関 |
Research Abstract |
木材腐朽菌の菌核粒子に生息するカビ(Penicillium thiersii NRRL 28147)から単離されたThiersinine A及びBはインドール核とジテルペンとが融合した特異なハイブリッド型構造を有し、強力な殺虫活性を持つことが報告されているが、未だ全合成は達成されていない。類似した構造のインドールジテルペン類の中には、昆虫に対する殺虫活性に加えて摂食阻害活性を示す化合物も単離されてきており、一種の防衛物質としての役割を担っていると考えられる。そこで著者らは、これらの初の全合成を行うとともに、合成中間体の活性評価を行い、構造活性相関の知見を得ることを目的としている。 始めに、この合成研究において一番の鍵となると想定されるtrans型に配置された2つのメチル基(ともに4級炭素に直結)を含むtrans-anti-trans様式の縮環系を持つCDE環部の立体選択的構築については、まず重要中間体として五員環エノンを設定し、これをWieland-Miescher ketoneより分子内Horner-Wadsworth-Emons反応などを経由して効率的に合成した。そして、この五員環エノンから鍵である縮環系の構築に着手している。その経路として、まず[2,3]-シグマトロピーWittig転位反応を介する経路を検討したが、実際にはこの鍵反応が今のところうまく進行していない。そこで現在は、この反応の条件検討をさらに行うと同時に、この五員環エノンから別経路(1,4-付加反応による構築、シクロプロパンの開裂による構築など)も模索中であり、今後は早期にこの縮環系を構築し、全合成につなげたいと考えている。
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