2007 Fiscal Year Annual Research Report
単一電子スピンの量子コヒーレンス・もつれの外部環境依存性とその破れに関する研究
Project/Area Number |
07J10043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日達 研一 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 量子ドット / 単一電子スピン / 正性 / 負性微分抵抗(PDC / NDC) / 励起状態・基底状態 / スピン-重項・三重項状態 / トンネル結合 / ドットの非対称性 / 電子スピン共鳴の検出 |
Research Abstract |
[概略] 平成19年度は、量子ドット中の単一電子スピンの制御に関する実験を行った。単一量子のコヒーレンスを調べるうちに、量子ドット中の単一電子スピン回転を読み出す方法を考えついたため、この実験を優先的に行った。また単一量子コヒーレンスの破れを調べる実験では、安定に動作するデバイスの作成に成功した。以下では平成19年度に行った実験の結果を述べる。 [実験結果] スピンqubitベースの量子計算にとって、単一電子スピンの回転を検出することは不可欠であり、二重量子ドットのパウリスピンブロッケードを使った系で既に実現されている。今年度は鴛子スピン共鳴(ESR)の測定に役立つと考えられる、より簡潔なスピン検出の方法を提案した。方法として、量子ドットがリードのスピン分極したエッジ状態とトンネル結合しているときに、2つの異なるスピン状態間でトンネル結合が異なる性質を利用した。この状況は以前、正性/負性微分抵抗(PDC/NDC)の観測として報告がある[1]。今回は、NDCが現れる条件として、特に関連するスピン状態やトンネル結合の非対称性について調べた。NDCはトンネル結合の小さい励起状態(ES)に電子が占有しているときに、基底状態(GS)のパスを実効的にブロックすることによって生じる。我々はGSおよびESとして、スピン-重項状態かスピン三重項状態あるいは2つのスピン1/2の状態を励起スペクトルの中で決定した。そしてESに電子が占有する平均時間を考えることで、NDCは、電子が量子ドットの薄いバリアから入るときに増大することを証明した。最後にNDCがスピン緩和やESRを検出することができることについて議論した。この内容は、実験例を中心に平成20年3月に行われた日本物理学会で報告した。また8月にアムステルダムで行われる国際会議Low temperature 25thで発表する予定である。 [1]M. Ciorga et al., Appl. Rhys. Lett. 80,2177(2002).
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Research Products
(3 results)