2008 Fiscal Year Annual Research Report
衡平性の経済哲学:社会保障制度における分配ルールの設計
Project/Area Number |
07J10082
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
村上 慎司 Ritsumeikan University, 先端総合学術研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 経済哲学 / 福祉政策 / 衡平性 / 社会保障 / 潜在能力 / ベーシック・インカム / 厚生経済学 / 分配問題 |
Research Abstract |
平成20年度は、昨年度から引き続き、二つの翻訳作業の完成を目指した。第一のものは、政治哲学者トマス.ポッゲ教授の主著である『World Poverty and Human Rights』における第4章の翻訳である。かかる議論は、今日の国際社会が直面している多くの不正義に対して、有益な示唆を与えると同時に、国内社会における分配問題への思考を深め、研究課題である分配ルールの性質を解明する博士論文の重要な礎石となる作業であった。 第二のものは、平成17年度に立命館大学で開催された国際カンファレンスの報告書に該当する書籍に所収されているプラサンタ・パタナイク教授の論文を翻訳することであった。いずれの翻訳書も諸事情から出版が遅延しているが、平成21年度中に公刊予定である。 次に、平成20年度に労力を傾注した研究であるベーシック・インカムの検討について述べたい。現在、日本におけるベーシック・インカム研究の第一人者である小沢修司教授と山森亮准教授を中心としたベーシック・インカム日本ネットワーク準備会に参加している。その会が主催する平成20年4月12日の第2回研究会において発表をした。これは、平成20年度に公刊された論文の中からベーシック・インカムに関する部分を取り出し、政治経済学者フィリップ・ヴァン・パレース教授の議論を本研究会の中心的概念である衡平性の観点から発表した。同会は、平成21年度科学研究費補助金の交付が採用され、報告者も研究協力者として参加することになっている。そこでは、小沢教授と連携して、ベーシック・インカムに関する実現可能性の研究を担当する予定である。それゆえに、平成20年度の後半は、衡平性と税制度の研究にも着手している。この研究成果は平成21年度以降の学会で報告予定である。
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Research Products
(2 results)