2008 Fiscal Year Annual Research Report
演劇・絵画・文学の三つの視点からなる歌舞伎演出の類型表現に関する研究
Project/Area Number |
07J10105
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松葉 涼子 Ritsumeikan University, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 近世文学 / 歌舞伎 / 近世演劇 / 浮世絵 |
Research Abstract |
この間国内外の若手研究者及び博物館学芸員との交流を広げつつ、海外諸機関の浮世絵資料を精力的に調査することができた。The Society for Japanese Arts(SJA)の中心メンバーであるHenk Herwig氏のコレクションは1000枚以上の規模であり、オランダ国内の役者絵個人コレクションとしては最大のものになる。2008年8月に所蔵品すべてのデジタル撮影を終了し、それらの画像を用いてSJAのメンバー内で公開・運用できるための英語版の浮世絵データベースを構築し、2009年度公開する予定である。さらにオランダのライデン民族博物館での浮世絵資料の撮影を実施した。当コレクションの大部分を占めるのがシーボルト旧蔵のコレクションである。これらは現地でシーボルト自らが購入したものだということところに特徴があり、彼自身がいつ頃、どこで購入したというメモが残されていることから当時の浮世絵資料の流通事情が明確にしれる好資料となった。こうした調査を受入れ先のデータ・ベースに反映させることにより、膨大な絵画資料を検証し、歌舞伎と絵画とりわけ、古典的画題が歌舞伎の演出を創出する事例をあげ、演劇と絵画との関連、近世期演出の実態を検討し、2本の論文を投稿した。 また、GCOE日本文化デジタルヒューマニティーズ拠点のプロジェクトの一環として、カナダ・ブリテッシュコロンビア大学(UBC)、イギリス・ロンドン大学SOAS、立命館大学ARCと合同の研究会を立ち上げた。研究会の目的は、文学・演劇などを含む近世文化全体を捉え、絵に描かれた記号の意味、背景にある文学、歴史を読み解き、今までに知られなかった物語や、図像の意味を導きだしていくことであり、研究会の成果を「画題事典」として刊行、共有化させることを将来的な成果として位置づけている。本年度は2回の会議、研究会を実施し、研究発表とともに今後の見通しについて話し合った。
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Research Products
(2 results)