2009 Fiscal Year Annual Research Report
眷村文学における「故郷」概念の変容と自己認識-朱天心とリカラッ・アウーの叙述戦略
Project/Area Number |
07J10123
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
倉本 知明 Ritsumeikan University, 先端総合学術研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 台湾文学 / 老兵小説 |
Research Abstract |
2009年度は研究テーマに沿って博士論文の執筆を進める一方、昨年度から引き続き研究を行ってきた老兵小説に関するより踏み込んだ研究を行ってきた。その成果の一部を2009年6月日本大学で開催された第11回日本台湾学会において「国「本」合作としての戦後台湾-邱永漢『長すぎた戦争』における老兵表象を中心に-」として報告した。また今後の研究を進めてゆく上で参考にしたいと考え、いくつかの老兵小説(張啓疆、陳映真、履疆など)について翻訳を行ってきた。 また、2009年度中に具体的な成果として提出は出来なかったものの、現代台湾におけるラテン・アメリカ文学の影響を探るべく、1980年代に描かれた張大春の一連の文学作品を中心に、戒厳令体制下の台湾においてラテン・アメリカの魔術的リアリズムがどのような形で受容されていったのかについての検討を行ってきた。今後はこうした成果をもとに、東アジア全体でラテン・アメリカ文学がどのような形で受容されていったのかについての比較研究も視野に入れて研究を進めたいと思う。 2010年度現在、特別研究員在任中の博士論文提出を見送った結果、研究課題を最後まで遂行することは出来なかったが、今後一年以内には研究課題を博士論文としてまとめ、立命館大学先端総合学術研究科の博士論文として提出する予定である。
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Research Products
(1 results)