2008 Fiscal Year Annual Research Report
GM3 only miceの神経変性における免疫反応異常の意義と分子機構の解明
Project/Area Number |
07J10158
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大海 雄介 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ガングリオシド / 脂質ラフト / 補体 / ノックアウトマウス / C3 / 炎症 |
Research Abstract |
我々はGM3以外のガングリオシドが欠損したノックアウト(DKO)マウスを作成し、神経変性に関与する標的遺伝子を同定した。以前までの研究により、神経組織の遺伝子プロファイリングの結果、炎症・免疫に関連する遺伝子が補体遺伝子を含む8種あり、糖脂質の欠損が神経組織に異常な補体活性化をもたらし神経変性を起こす事が分かってきた。 そこで、補体系活性化がどのような機序で惹起されているのかを検討するため、GPIアンカータンパク質である、補体制御因子CD55の脂質ラフトヘの局在について小脳を用いて検討したところ、WTマウスに比べ、DKOマウスのラフト分画でCD55が減少していた。また、ラフトマーカーであるFlotillinの局在は激変しており、DKOマウスではラフトの異常が起きていることが示唆された。また、免疫組織染色を用いて小脳のCD55,Flotillinを染色した結果、WTマウスでは主に細胞膜上に染色されたが、DKOマウスでは細胞が全体的に染色された。これにより、DKOマウス脳におけるラフトの異常が補体系活性化を惹起することが示唆された。そこでDKOマウスにさらに補体遺伝子C3をノックアウトしたマウスをかけ合わせトリプルノックアウト(TKO)マウスを作成し、小脳の炎症や神経変性を検討したところ、DKOマウスで亢進したサイトカインの発現量はTKOマウスで減少し、C1_qの沈着も減少した。 このように、ガングリオシドの欠損は脂質ラフトの異常を招き、その結果、補体活性の亢進を引き起こして、異常な炎症反応により至ること。これらの結果により神経変性が引き起こされること等が示唆できた。また、その炎症反応は補体遺伝子C3をノックアウトする事により抑えることが出来た。
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Research Products
(3 results)