2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J10183
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
ILIES Laurean The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ベンゾシロール / 有機合成 / 分子内環化 / スタンニルリチウム / 付加反応 / ガラス状態 / 電子輸送材料 / 有機発光素子 |
Research Abstract |
近年、有機発光素子や太陽電池などへの応用を目指した有機化合物の開発が盛んに行われている.申請者は含ケイ素π共役系化合物に注目し、シラシクロペンタジエン(シロール)とベンゼン環が縮環したベンゾシロール類の合成法開発ならびに物性評価を行った。 ベンゾシロールは本質的に高い電子親和力を示し、電子輸送材料への応用が期待されるが、軌道準位の最適化などのために自在に置換基が導入可能な合成方法の確立が望まれていた。申請者は、(o-アルキニルフェニル)シランにトリメチルスタンニルリチウムを反応させることで、スタンニルリチウムの三重結合部位への付加、引き続く分子内環化により、安定な3-スタンニルベンゾシロールが良好な収率で得られることを見出し、この反応を利用して、様々な置換ベンゾシロールが簡便かつ高収率で得られる方法を開発した。 p-フェニレンユニットで二つのベンゾシロール部位が架橋された分子(DBSB)について構造評価、物性評価を行った。X線構造解析により、この分子は平面ではなく、フェニレン部位とベンゾシロール部位が捻れた構造をとる事が分かった。これは、デバイスを作成するための大事な条件である安定なガラス状態の形成に役立つ。飛行時間法により測定した電子移動度は6×10^<-4>V/cm^2sという高い値であった。これは、現在一般的に利用されている電子輸送材料であるAlq3よりも概ね1000倍も高い値である。さらに、DBSBを電子輸送層として用いた有機発光素子を作成し、その評価を行ったところ、Alq3を用いたものよりも素子性能が向上することがわかり、DBSBが優れた電子輸送層として機能することを確認した。
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Research Products
(9 results)