2008 Fiscal Year Annual Research Report
消化管抑制性T細胞の分化制御機構の解明と炎症性腸疾患治療への応用
Project/Area Number |
07J10191
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
知念 孝敏 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | TGFβ / Foxp3 / 消化管 / 経口免疫寛容 / レチノイン酸 / 抑制性T細胞 / IL-4 / 抗炎症 |
Research Abstract |
炎症性腸疾患の発症および進展にはサイトカインの異常な産生、もしくはサイトカインバランスの破綻が深く関わることが明らかにされている。すなわちIFNγやIL-4などの炎症性サイトカインの過剰な産生の他、抑制性サイトカインであるIL-10やTGFβを産生するTr-1型ヘルパーT細胞、Th3型ヘルパーT細胞、あるいは、CD4CD25FoxP3陽性の制御性T細胞(Treg)の機能の欠損が炎症性腸疾患発症の引き金となる事が示されている。興味深いことにTGFβ単独ではFoxp 3陽性Treg(iTreg)を誘導する。本研究では炎症性腸疾患治療を目ざし、Th3の本体を明らかにしiTregの誘導を促進させTh17を減少させる方法論を開発することを目標とした。Th3はナイーブT細胞をTGFβ、IL-4およびIL-10存在下で抗CD3抗体にて刺激したときに得られ、iTregはTGFβおよびIL-2存在下で抗CD3抗体にて刺激したときに得られるとされる。Th3とiTregの差異について明らかにするために様々な検討を行ったところ、Th3分化条件ではIL-10の誘導は高いがFoxp3の誘導が極めてすくないこと、iTregと比べるとはるかにsuppression活性が弱いことがわかった。これは主にIL-4がFoxp3の発現抑制に働くためであった。以上の検討によりTh3はTr1とiTregが混在した不均一な集団と考えられる。さらにFoxp3プロモーターの解析を行いTGFβによるFoxp3誘導に必要な領域を同定した。その結果exon1とexon2の間の領域にSmad結合領域が2個タンデムに存在し近傍にNF-AT結合サイトが存在する領域が必要であることがわかった。ナイーブT細胞においてTGFβによって誘導されるFoxp3は不安定でIL-4によってFoxp3の発現は抑制される。IL-4によって活性化されるSTAT6がFoxp3のプロモーター領域に結合しSmadのリクルートを抑制した。
|
Research Products
(3 results)