2009 Fiscal Year Annual Research Report
消化管抑制性T細胞の分化制御機構の解明と炎症性腸疾患治療への応用
Project/Area Number |
07J10191
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
知念 孝敏 Keio University, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | TGFβ / Foxp3 / 消化管 / 経口免疫寛容 / レチノイン酸 / 抑制性T細胞 / IL-10 / 抗炎症 |
Research Abstract |
本年度は消化管における腸内細菌不応答性の新たなメカニズムの解明の研究を行った。我々はSOCS1欠損マウスとT細胞、B細胞を持たないRag欠損マウスを交配しSOCS1/Rag欠損(DKO)マウスを作成した。このマウスは生後3ヶ月以降に重篤な腸炎を発症し死亡した。Tregの移入によってこの腸炎は軽快した。このときIL-10欠損Tregでは治癒できなかった。以上の結果からSOCS1/DKOマウスではIL-10/Tregの系が働かないために、腸内細菌を起因とした高サイトカイン(特にIFNγ)によって発症することが明らかとなった。この原因を探るために、腸粘膜層抽出液にサイトカイン産生を抑制する物質がないか検索を行った。その結果消化管粘膜層ではPGE2の産生が極めて高くこれが樹状細胞やマクロファージからのTNFやIL-12の産生を抑制することを見いだした。特にLPS+IFNγの刺激の場合はSOCS1欠損樹状細胞では抑制が破綻していた。すなわちPGE2がSOCS1依存性の抑制系である可能性が考えられる。そこでCOX阻害剤の投与によりPGE2レベルを減少させた。COX阻害剤は野生型マウス(IL-10/Tregシステムは正常)には影響を与えなかったが、Rag欠損(IL-10/Treg系がない)では重直な腸炎を発症した。ちょうどSOCS1-DKOマウスと同じく、Rag/COX阻害剤腸炎も腸内細菌の除去もしくはIL-10/Tregの移入によって軽快した。消化管には腸内細菌に対するふたつの抑制系としてIL-10/TregとPGE2系が存在し、IL-10の系はIFNγが存在しても作用するがPGE2系はIFNγシグナルによって破綻することが示唆された。
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