2007 Fiscal Year Annual Research Report
建築構造物の機能性向上のためのセルフセンタリング柱脚の開発と耐震性能評価
Project/Area Number |
07J10198
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池永 昌容 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 柱脚 / 鉄骨構造 / 残留変形 / セルフセンタリング / 摩擦 |
Research Abstract |
本研究では研究計画として3つの枠組みを設定し,それぞれを並行して実施している.3つの枠組みとは「セルフセンタリング柱脚(以下SC柱脚)の特性評価と設計法」,「新たなSC柱脚の開発」,「許容残留変形の定量化」であり,19年度の研究状況は以下の通りである. 1.SC柱脚の特性評価と設計法 現行の耐震設計法に基づいて設計した3層鉄骨骨組に対して,一般的に使用される固定柱脚と露出柱脚,そして本研究で考案しているSC柱脚を導入した3通りの骨組を想定する,それらの骨組に対して告知波による時刻歴応答解析を実施した.その結果,最大変形を既往柱脚と同程度に抑制しつつ,残留変形を既往柱脚と比べて激減させるために必要なSC柱脚の性能を明らかにした. 2.新たなSC柱脚の開発 SC柱脚の一つの可能性として考えられる,置くだけの柱脚を主眼に置いた研究である.研究の端緒として振動台を用いた動的実験を行った.動的実験では鉄骨骨組の鋼製柱脚を模擬した鋼製要素とコンクリート基礎を模擬したモルタル要素を用い,正弦波入力を基本とした載荷を実施した.その結果.柱脚部の摩擦面となる鋼とモルタルに関して,安定した摩擦拳動を示し,静止摩擦係数と動摩擦係数はともに0.78であることを明らかにした.さらに,鋼とモルタル面の摩擦係数は面圧に依存せず一定である一方で,すべり速度が大きくなると動摩擦係数が減少する速度依存性が生じることがわかった. 3.許容残留変形の定量化 文献調査,アンケート調査,そして現在使用されている鉄骨建物の実測によって,許容残留変形量を人間の心理的側面と建築技術的,工学的側面の両面から考察した.その結果,両面ともに許容残留変形量は0.005radであった.この結果は,前述のSC柱脚の特性評価と設計法における解析検討において,残留変形の必要低減量に関する裏付けとしても利用している.
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Research Products
(3 results)