2007 Fiscal Year Annual Research Report
拡張一次元π電子系を有する共有結合チューブ分子の合成と機能解明
Project/Area Number |
07J10220
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 真一郎 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大環状化合物 / NH-π相互作用 / π-π相互作用 / 芳香族ジイミド |
Research Abstract |
本研究課題は、共有結合チューブ分子-ゲスト分子間の相互作用解明に適した新奇な拡張一次元パイ電子系を有する共有結合チューブ分子の創製を目標としており、当該年度では電子受容性化合物群として知られる芳香族ジイミド類の中で最小単位であるピロメリットジイミドの構造修飾性に着目して分子設計を行い、1)電荷移動相互作用に基づくホスト能を有する大環状化合物の合成と特異なホスト能発現、及び2)大環状構造への一次元π電子系の構築を達成した。以下にその概要を述べる。 NH-π相互作用は、タンパクの二次構造等を決定する重要な相互作用として認識されているにもかかわらず未解明の部分が多く残っており、特にπ-π相互作用の場合とは対照的にクラスター形成の直接観測例は無かった。今回開発したホスト能を有する大環状化合物とアニリンから形成される包接結晶のX戦構造解析を行うことで、自己相補的なNH-π相互作用に基づく環状のアニリン三量体構造を直接観測することに成功し、NH-π相互作用による芳香族クラスター形成を初めて立証した。 大環状構造への一次元π電子系導入は、標的共有結合チューブ分子を合成する上で必須の克服課題であるだけでなく、光・電気的機能発現を行う上でも極めて重要である。そこで、ピロメリットジイミドの構造修飾性を利用した一次元π電子系を有する大環状及び非環状化合物の開発を行い、構造と諸物性を明らかにした。すなわち、結晶構造解析と理論計算を精査することによって、一次元π電子系を有するピロメリットジイミド骨格間には固体状態で特異な静電的相互作用が発現することを見出し、有機電子材料として有望であることを立証した。
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