2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J10257
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
関田 静香 Osaka University, 社会経済研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 家計 / 資本所得 / 実効税率 / 金融リテラシー / 老後貯蓄 |
Research Abstract |
(研究テーマ1)1973-2003年における資本所得と金融商品の実効税率を計測し、課税の中立性について検証した。さらに、2011年以降の課税方式における実効税率もシミュレードした。その結果、資本所得別に見た場合、配当所得の実効税率の方が、利子所得よりも常に高くなっていた。また、収益率が低く、株式の保有期間が短い場合、譲渡所得の実効税率は配当所得よりも高くなることがあるものの、収益率が5%以上、株式の保有期間が5年以上であれば、インフレ率や年に関わらず、譲渡所得の実効税率が資本所得の中で最も低かった。金融商品別に見ると、譲渡所得の収益率が1%と低い場合には、株式の実効税率が預貯金よりも高く、譲渡所得の収益率が18%と非常に高い場合には、株式の実効税率の方が預貯金よりも低く、譲渡所得の収益率が5%の場合には、預貯金の実効税率と比較的近い値となっており、譲渡所得の収益率の違いによる、金融商品間の実効税率の乖離が著しいことが分かった。2011年以降においては、利子・配当所得の実効税率はほぼ等しくなると考えられるが、譲渡所得の実効税率は、収益率が高く、株式の保有期間が長くなるほど、利子・配当所得よりも格段に低くなっており、資本所得の中で最も税制優遇されるといえる。預貯金と株式で実効税率を比較すると、株式の実効税率が預貯金よりも低い場合がほとんどであり、金融商品間で、株式が最も税制面で優遇されるといえる。 (研究テーマ3)金融リテラシーが老後のための貯蓄をするかどうかに与える影響について実証分析を行った。データには、金融リテラシーを測るのに有用な質問項目をもつ2003-06年の「NEEDS RADAR金融行動調査」を用いている。分析の結果、金融リテラシーが高い人が、老後のために貯蓄をしようとする傾向があることが分かっている。
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Research Products
(1 results)