2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J10259
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西村 真一 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リチウムイオン二次電池 / 固体イオニクス / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
LiFePO_4中におけるリチウムイオン拡散機構は、結晶構造中に存在する空隙の空間的な広がりから、異方的な挙動を示すことが予想され、この研究を開始した当初の精密粉末中性子回折を利用したリチウムイオンの熱振動解析、そしてMorganらやIslamらによるリチウムイオンホッピングの活性化エネルギー計算によって一次元的な拡散経路が予測されていた。この一次元的に起こるリチウム拡散現象を実験的にとらえるべく、LiFePO_4へLi欠陥を安定に導入し、高温に保持した状態における粉末中性子回折を行い、平均核密度分布のその場測定を行った。粉末中性子回折より得られた構造因子データに最大エントロピー法を適用することで、核密度データを鮮明化し可視化したところ、リチウムに相当する核密度分布が[010]方向に沿ったチャネル上に極端な広がりを持っており、この材料中で起こるリチウムイオン拡散が一次元的であることを強く支持する証拠を、直感的な形で提示することに成功した。この様な可視化技術は、電池材料へ適用された例がこれまでになく、世界初の成功例となる。この成果はNature Materials誌に掲載された。 Li_2FeSiO_4は、LiFePO_4で得られた優れた諸特性を持ちつつ、更なる低コスト化や、高性能化を目指した物質設計展開が期待される物質である。この結晶構造は、Li_3PO_4型に属する構造であり、この類縁物質に普遍的に見られるのと同様に、いくつかの多形が存在すると考えられるが、この物質の結晶構造としたは、Li_3PO_4の低温相をベースにしたモデルのみでこれまで反応機構や結晶構造に関する議論が展開されていた。しかしながら、電極反応評価に使用されている試料の多くは固相反応法によりえられており、X線回折データは低温相モデルでは矛盾する。そこで、高品質な試料の合成を行い、高分解能放射光X線回折と電子線回折を併用した結晶構造解析を行い。真の結晶構造モデルの構築に成功した。
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Research Products
(8 results)