2007 Fiscal Year Annual Research Report
アディポカインに着目したメタボリック症候群の病態解明への疫学的アプローチ
Project/Area Number |
07J10284
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松下 邦洋 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | メタボリックシンドローム / アディポネクチン / レプチン / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
研究計画に則り、本学公衆衛生学講座のコホートを用いて、(1)メタボリック症候群(MetS)各要素との関連におけるアディポネクチンとレプチンの比較を行った。アディポネクチン低値は高比重リボ蛋白コレステロール(HDL-C)低値と、レプチン高値は高血圧、肥満と強く関連していた。高血糖、高中性脂肪との関連は両者とも同等であった。本結果より、アディポネクチンとレプチンは互いに独立してMetsの病態に関連するだけでなく、それぞれが特定の要素を引き起こす過程に関与している可能性が示唆された。本結果を米国シカゴで開催されたATVB conference2007で発表し(P268)、現在投稿中である。 次いで、上記解析で関連が強かったアディポネクチンとHDL-Cに着目した。この関連がインスリン抵抗性、肥満度と独立したものかを検討した。アディポネクチンは、この両者よりも強く、HDL-Cと関連していた。アディポネクチンに着目し、HDL-Cを低下させない、もしくは増加させる生活習慣の探求や創薬において興味深い知見だと考えている。現在、投稿準備中である。 このように、Metsとの関連が強いアディポネクチンであるが、最近基礎研究において、肥満やインスリン抵抗性状態では、血中アディポネクチンの低下に加え、その作用が弱まる(アディポネクチン抵抗性)可能性が指摘されている。疫学的にその存在を確認するため、インスリン抵抗性の強さに応じて、アディポネクチンとインスリン感受性の関連に差異があるかを検討した。一般的に正相関するアディポネクチンとインスリン感受性の関係が、インスリン抵抗性状態では認められないことが明らかとなった。つまり、ヒトでもアディポネクチン抵抗性の存在が示唆された。本結果は、米国オーランドで開催されたAHA scientific session 2007で発表し(3595)、現在投稿準備中である。
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Research Products
(7 results)