2007 Fiscal Year Annual Research Report
グルコースが卵胞機能調節に果たす役割とその作用機序の解明
Project/Area Number |
07J10300
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
西本 博美 Iwate University, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 畜産学 / ウシ / 生殖科学 / 卵胞成熟 / グルコース代謝 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
【目的】卵胞は長・成熟から排卵、黄体化に至るまで様々な生理状態を軽験し、その代謝も大きく変化する。グルコースはその過程でエネルギー源のみならず様々な物質の基質として使われる。申請者は細胞におけるグルコース代謝は卵胞ならびに黄体の生理状態により変動すると考えた。申請者はこれまで、卵胞および黄体において、血流による物質供給の変化がグルコース代謝関連遺伝子群の遺伝子発現に影響を与える可能性を見いだした。しかし、それらがどのような因子によって制御されるかはほとんど解明されていない。そこで今年度の研究では卵胞成熟過程に着目し、成熟を模した細胞培養系におけるグルコース消費量や乳酸産生量、またグルコース代謝関連酵素群の遺伝子発現を解析する事で、卵胞成熟における糖利用調節の概要を解明することを試みた。【方法】食肉処理施設由来ウシ卵巣の未成熟卵胞から顆粒層細胞を採取・培養し、培養液中に卵胞刺激ホルモン(FSH)を添加した卵胞成熟モデルを用い実験を行った。細胞成熟培養は4または6日間行い2日おきに培地交換を行った。培養終了後に得られた細胞における、糖輸送体およびグルコース代謝酵素遺伝子の発現量をリアルタイムPCRを用いて定量した。また、回収した培地はグルコース消費量および乳酸分泌量測定に供した。【結果および考察】FSH添加、すなわち顆粒層細胞の成熟に伴い、解糖系の律速酵素であるホスホフルクトキナーゼ発現が増加した。また同時に(嫌気的解糖の最終産物である)乳酸産生量のグルコース消費量に対する比率、および乳酸脱水素酵素のアイソフォームであるLDHA(嫌気的組織で優勢に発現)対LDHB(好気的組織で優勢)の比率が上昇した。以上の結果から、ウシ顆粒層細胞におけるグルコース代謝関連遺伝子群の発現は顆粒層細胞成熟によって影響を受ける事、および成熟に伴いより嫌気的な糖代謝にシフトする事が示唆された。
|
Research Products
(1 results)