2008 Fiscal Year Annual Research Report
障害者就業支援ネットワーク構築における人的環境要因の職リハ観点からの検討
Project/Area Number |
07J10335
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
知名 青子 Tohoku University, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 進路指導 / 移行支援 / 移行コーディネーター / 職業リハビリテーション / 専門性 / 校務分掌 |
Research Abstract |
本研究初年度の課題として知的障害養護学校の進路指導教諭の職務を整理し、進路指導教諭の役割の明確化を図ることを目的とした調査研究を行った。そこでは進路指導教諭の5役割(「アセスメント」「広報・連絡」「支援チームの仲介役」「職場適応支援・職場開拓」「進路指導の主導的調整役」)が得られた。進路指導の役割の中では生徒への直接的指導以外に、教員・関係者間での連絡調整という役割が認められた。その中でも特に「広報・連絡」「支援チームの仲介役」「進路指導の主導的調整役」は移行コーディネーター的機能であると考えられた。進路指導や移行支援に関わる調整役としては米国の移行コーディネーター(Transition Coordinator)の存在が先駆的であり、これは教員や関係者が連携する上で必須の機能である(水谷,2002)。わが国においても知的障害養護学校教諭の移行コーディネーターとしての役割の可能性が示唆された。しかし同時に、進路指導職務の内容の多様性や専門性の高さから、校務分掌の立場においてこれらの職務を実施することへの懸念や、各職務における負担の高さ、進路指導体制の未整備の問題などが今後の検討課題として残された。そこで本年度では、進路指導教諭のコーディネート職務に委譲される裁量・権限の在り方、コーディネート職務における教諭個人の能力を明らかにし、進路指導の職務負担感の関連性を検討した。結果、教諭個人がより高い判断・コミュニケーション能力を持つことで、各職務の負担感は低減する可能性があるが、職場開拓については教諭個人の能力向上によっても負担軽減が期待されないことが示唆された。また、いくつかの職務は、「裁量の程度が低い割に、職務上の要求は高い」、"High Strain Job"であり、これらは、進路指導教諭に職務上の裁量権を与え、"Active Job"へ移行させることが役割遂行を促進する上で必須条件であることが示唆された。調査1の結果を鑑み、進路指導教諭の職務環境と、職務ストレスおよび個人要因の関連をさらに詳細に明らかにする必要性が高まったことから、調査2として知的障害養護学校高等部(特別支援学校高等部)における進路指導教諭および高等部3年生学級担任を対象とした調査を実施し、結果は分析中である。また、昨年度に引き続き、米国における移行コーディネーター関連の文献レビューを行っている。
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Research Products
(4 results)