2007 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン量子ドット超格子構造を用いた次世代太陽電池の作製
Project/Area Number |
07J10348
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒川 康良 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シリコン量子ドット / 太陽電池 / 第三世代 / アモルファスSiC / フォトルミネッセンス |
Research Abstract |
本年度は、サイズ制御されたシリコン量子ドット超格子構造(Si-QDSL)の作製とフォトルミネッセンス測定によるバンドギャップ評価が主な研究目的であった。まず、量子ドットのサイズ制御は、シリコンリッチなSiC層の膜厚を変化させることにより行った。透過型電子顕微鏡の画像から、シリコンリッチなSiC層の膜厚に対応して、シリコン量子ドットの直径を2〜10nmの範囲で制御することに成功した。これは、アモルファスSiCを用いたSi-QDSLでは初めてのことである。 次に、シリコン量子ドット超格子構造のフォトルミネッセンス評価を行った。その結果、シリコン量子ドット形成のための高温熱処理プロセスにおいて、水素の脱離による欠陥密度の増加が起きてしまい、フォトルミネッセンスを検出できなかった。そこで、欠陥低減方法として水素プラズマ処理を試行した。これは、試料を水素プラズマに曝すことにより、膜中に水素を導入する方法である。その結果、表面から30nm程度であるが水素が導入され、欠陥密度が減少し、量子ドットからと見られるフォトルミネッセンスを確認することができた。さらに、量子ドットの粒径を変えることにより、フォトルミネッセンスの発光エネルギーを1.1〜1.6eVまで変化させることにも成功した。これも、アモルファスSiCを用いたSi-QDSLでは初めてのことである。 膜全体の欠陥低減方法として、水素拡散処理を行った。これは、Si-QDSL上に水素を含む層を堆積し、それをアニールすることで、水素をSi-QDSL中に拡散させ、欠陥を低減する方法である。実験の結果、400〜500℃程度のアニール処理で、水素が最も拡散し、膜全体に水素が導入することに成功した。水素濃度としては、まだ不十分なため、欠陥密度は太陽電池の吸収層として用いるにはまだ多いが、条件の最適化次第では、さらなる効果が期待できるものと考えられる。
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Research Products
(6 results)