2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J10354
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
船橋 孝恵 Kyushu University, 健康科学センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 身体障害 / 運動発達 / 自発的行為 / 社会的認知 |
Research Abstract |
乳幼児期の運動発達は運動経験が社会的認知の発達を促進するだけでなく、新たな運動経験が知覚、認知過程、情動発達にも影響することが明らかにされている。また、乳児を対象としたこれまでの研究から、およそ1ケ月の移動運動経験が、乳児と養育者のコミュニケーションに質的な変化をもたらすことが示唆されている。しかしながら、わが国の現状では、身体障害児に対する運動発達の支援は十分とは言えない。本研究は、身体障害児の運動発達に伴う,社会的環境(養育者・支援者)との社会的相互作用の変化を質的・量的アプローチから検証することを目的としている。そこでまず、移動運動の獲得そのものがコミュニケーションの質的変化に影響している可能性について、健常乳児とその養育者を対象として検討した。対象児は移動群(移動開始後約2週間)と未移動群に分けられた。その結果、同じ月齢(8ケ月)児でも移動運動を開始した乳児と養育者は未移動群と比して「微笑み」の回数が有意に多く、質的にも養育者との関わりの中での「微笑み」の頻度が有意に多かった。このことから、移動運動の獲得そのものがコミュニケーションの変化に影響している可能性があると考えられる。これまでは移動運動経験が様々な心理的発達に重要であるといわれてきたが、移動運動の獲得自体が影響するという知見は、身体障害児・者が新たな運動の獲得あるいは機能回復が物理的な変化をもたらすだけでなく、発達のトリガーとなり、また発達を駆動するものとして重要な意味を付与するものと考えられる。
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