2007 Fiscal Year Annual Research Report
ループ模型とスピン鎖及び頂点模型の対応における量子可積分性に関する研究
Project/Area Number |
07J10371
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茂地 圭一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 量子可積分系 / 量子スピン系 / ヘッケ代数 / タイリング |
Research Abstract |
量子スピン鎖及びループ模型の対応において、O(n)ループ模型の背後にある代数構造やその表現論、模型に付随する組み合わせ論的量に関する研究を行った。今年度は、A型の頂点模型とアフィンヘッケ代数に注目した。具体的には、O(n)ループ模型の高ランク類似物の具体的構成、q-対称子を用いたA型Hecke代数の表現の構成、及びそれらを用いた量子Knizhnik-Zamolodchikov (q-KZ)方程式の組み合わせ的側面に関し研究を行った。O(n)ループ模型の持つ対称性はA型Temperley-Lieb代数(Uq(sl2)の場合に相当)であり、その代数の作用する空間はリンクパターンで張られることがよく知られている。これらを高ランクの場合(Uq(slk)に相当)への拡張を行った。Yang-Baxter方程式及びq-対称子の性質を使い、リンクパターンの一般化に相当するものを、平行四辺形タイリングとよぶ手法を新たに導入することで構成した。周期系の揚合には、物理的には円板上および円柱上のモデルが考えられる。これらの模型はそれぞれあるアフィンヘッケ代数で実現されているが、円柱上の場合に対応するものは、新たに導入された円柱関係式を持つアフィンヘッケ代数であることを示した。このタイリングの手法により、円板及び円柱の境界条件を統一的に扱えるようになった。この一般化されたリンクパターンの上でq-KZ方程式の多項式解を得、円柱境界条件を持つ模型は、レベル1-k+1/kのq-KZ方程式の解に対応していることも示した。特にこの解が、マクドナルド多項式から得られる解の特解であることがわかった。量子群の変形パラメータqがある特殊な1の幕根(Razumov-Stroganov点)のときにこのq-KZ方程式の解の総和則がシュアー関数の積でかけることを示した。
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Research Products
(4 results)