2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規遺伝子Spredsのマウス造血における機能解析
Project/Area Number |
07J10393
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野波 篤 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 造血 / マウス / シグナル伝達 |
Research Abstract |
昨年度までで当初の研究計画に記載したSpredsの研究が一通り終了した。この研究の目的は、血液悪性腫瘍に多いRas-MAPK恒常的活性化について、これを負に制御するSpredの機能解析を行ない、治療に関連する知見を得ることが目的であった。本年度はより直接的に、この恒常的活性化シグナルに対する治療方法開発に取り組むこととした。 変異Nrasは古典的な癌遺伝子であるが、unduggableと言われる程その治療法開発は困難であった。そこで我々は、synthetic lethalの概念を利用して、shRNAiでkinase, phosphataseその他をノックダウンすることにより、変異Nrasを持つ細胞の増殖のみを抑制するNras特異的なターゲット遺伝子を同定することとした。候補遺伝子はNRasの上流、下流などNrasそのもの以外、特に薬剤の開発につなげやすいkinase, phosphataseに求めることとした。 <方法>細胞は野生、変異Rasの細胞株3種ずつを用いる。主としてkinase, phosphataseを含む5000以上の遺伝子からなるレンチウイルスshRNAライブラリー(Hahn WC et al, Cell, 2006)により遺伝子をノックダウンする。1つの遺伝子にヘアピンは5-8存在し、1つのwellに1種類ずつヘアピンを加える。培養後、コントロールヘアピンと比較して、変異細胞株のみにおいて増殖を強く阻害したものを候補遺伝子として複数選ぶ。 <結果>現在スクリーニングが終了し、アポトーシス関連遺伝子や機能が十分解明されていないものなど8つの候補遺伝子を選んだ。特にNrasそのものが候補遺伝子のランキングの4番目となっており、これはポジティブコントロールとしてデータの信頼性を示すと考えられる。今後in vitro, in vivoにおいて検証していく予定である。
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