2008 Fiscal Year Annual Research Report
気体力学に現れる非線形偏微分方程式の数学解析と非線形波の安定性
Project/Area Number |
07J10414
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上田 好寛 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 安定性解析 / 漸近安定性 / 双曲型方程式 / 消散型波動方程式 / 粘性保存則 / 時間減衰評価 / 重み付きエネルギー法 |
Research Abstract |
気体力学に現れる非線形偏微分方程式に対する安定性解析を研究目標とし,具体的な方程式として非線形緩和的双曲型系,もしくはそれと同等の非線形移流項付き消散型波動方程式に対する研究を行ってきた。特に今年度は,より物理背景に根差した仮定の下での解析に着目し,研究を遂行してきた。 その結果として,方程式を構成する非線形項の条件の一般化に成功した。これまでの既存の結果では非線形項に凸性を仮定した場合の安定性を議論したものが多く,凸性の仮定がどの程度本質的かは未解決であった。しかし,2007年に大阪大学の橋本氏・松村氏により,凸性を仮定しない非線形項を持つ粘性保存則に対する安定性解析が展開された。その結果は,非線形波への漸近安定性は示されているものの,対応する時間減衰評価は得られていない。そこで,第一の研究内容として,橋本氏・松村氏の結果に精密な時間減衰評価を与えた。その手法は,自身のこれまでの研究で培った重み付きエネルギー法によるものである。 さらに,第二の研究内容として,放物型方程式である粘性保存則と比べると格段に解析困難である,双曲型方程式に分類される非線形移流項付き消散型波動方程式に対しても漸近安定性を議論した。その研究では,非線形項の一般化だけでなくsub-characteristic条件と呼ばれる安定性を議論する上で必要不可欠な条件の緩和にも挑戦し,現在研究を進行中で期待される結果が得られつつある。
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Research Products
(13 results)