2007 Fiscal Year Annual Research Report
キスゲ属における夜咲き種の花の進化-その遺伝的基礎の解明と初期過程の野外実験
Project/Area Number |
07J10449
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新田 梢 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 送粉シンドローム / 遺伝的基礎 / 夜咲き種 / キスゲ属 / 開花時間 |
Research Abstract |
近縁な2種、キスゲ属の夜咲き種キスゲと昼咲き種ハマカンゾウは、花の寿命がたったの半日であり、キスゲは、スズメガ媒花であり、黄色い花冠、匂いあり、長い花筒という特徴である。ハマカンゾウは、チョウやハナバチ媒花であり、赤色を帯びた花冠、匂いなしという特徴がある。対照的な花形質群をもつが、2種の雑種は高い稔性を示し、人工的に雑種作成が可能であるため、花形質の遺伝的基礎を明らかにするのに適した材料である。 本研究は、送粉昆虫に適応した一連の花形質群の進化機構を解明することを目的とし、今年度は、夜咲き種の花形質群が、どのような遺伝的構造によって生じたか?を明らかにするために、雑種F2世代における花形質(開花時間・花色・花香)の解析を中心に以下の研究成果が得られた。 開花時間については、雑種F2では開花開始時刻は、朝と夕方の顕著な二峰型分布を示し、開花開始時刻が量的遺伝子だけでなく、主要遺伝子によって制御されていることが示唆された。花色については、HPLC(高速液体クロマトグラフィ)を用いて、物質の特定をし、ハマカンゾウ花弁に含まれるアントシアニン色素はデルフィニジンであり、キスゲ花弁には含まれないことが明らかになった。そして、分光光度計を使用して雑種F2世代におけるアントシアニン色素量の定量を行っている。花香については、花香サンプルを収集し、GCMS(ガスクロマトグラフ質量分析計)を用いて、親種における物質の組成の違いと雑種世代における分離について解析中である。そして、花のつぼみ組織由来ESTの情報をもとにプライマー設計を行い、花色・花香に関連する配列に親種間で多型がないか解析し、マーカー開発を行っている。
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