2009 Fiscal Year Annual Research Report
LASER光照射による電子捕獲率増幅を利用した標準模型を超える物理の探索
Project/Area Number |
07J10485
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
野村 敬明 Saitama University, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子標準模型を超える物理 / 電子捕獲過程 / LASER / 電子捕獲 / 余剰空間 / 暗黒物質 |
Research Abstract |
本年度は二つの研究を主として行いました。一つはレーザー光を原子に照射した際の、束縛電子の原子核による捕獲率の増加に対する時間依存性の解析です。もう一つとしては、標準模型を超える物理の候補として余剰空間模型に注目し、その構築と解析を行いました。捕獲率の増幅の時間発展については、レーザー光の時間依存性を取り入れ、原子とレーザー光の系に対するDirac方程式を数値解析することで調べます。具体的にはレーザー光下での波動関数をレーザー光のない場合の波動関数、すなわち水素型原子波動関数を用いて展開し、時間に依存する展開係数の時間発展を解析します。これまでの研究により、展開する際の水素型原子波動関数は束縛状態だけでは不十分であり、連続状態も必要であることを明らかにしました。この研究は、我々が先行研究で適用したレーザーの時間依存性を落とした近似計算の適用限界とその妥当性を明らかにできるという点から、非常に重要です。一方で、標準模型を超える物理の候補となる余剰空間模型としては、Universal Extra Dimensional(UED)模型に注目しました。UED模型ではコンパクトな余剰空間を考え、その上を標準模型の粒子が伝搬できると考えます。そのため、各粒子に対して余剰空間方向の運動量を持った励起状態-Kaluza Klein(KK)モード-が存在し、それらは4次元時空においては重い粒子として振る舞います。その内、最も軽い粒子は安定になり暗黒物質の候補を与えるため注目されています。我々は新たに二次元球面を用いた模型構築に取り組みました。二次元球面を用いた結果として、KKモードの質量は球面上の角運動量によって特徴づけられるということを明らかにしました。さらに、この模型におけるKKモードのグルーオン融合を介したヒッグス生成率への影響を調べ、標準模型の場合と比べて~30%程度の生成率の増幅が得られることを示しました。
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Research Products
(9 results)