2009 Fiscal Year Annual Research Report
実験経済学の手法による京都議定書およびポスト京都の国内・国際温暖化防止制度設計
Project/Area Number |
07J10518
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤井 研樹 Osaka University, 社会経済研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地球温暖化 / オークション / 信頼 |
Research Abstract |
地球温暖化を防止するための日本国内の制度設計として、排出権の入札手法を実験した。一つは、近年、ヨーロッパや日本で質の高い財の調達入札として用いられている最低制限価格つき入札制度の実験である。この入札は、入札者の入札価格の平均に近い価格を最低価格として、それ以下では落札しないという特徴を持っている。実験の結果、入札価格を故意に操作することによって、最低価格を引き上げる現象が観察された。この制度から得られる含意は、政府はこの制度を使うと、本来よりもより高値で排出権などを購入せざるをえなくなることである。 もう一つは、入札時に財の提供者が故意に財の品質を下げることが可能な環境での競。争入札を検証した。ロシア・ウクライナのように破産をする可能性が高い財の提供者が2者以上存在する場合、他の提供者も財の品質を極端に下げ、落札者が提供する財の品質は非常に低いものになることが理論と実験の双方から確認された。 以上の研究から、入札者が財の品質を下げることができる場合には、最低価格のような財の品質を下げ止める制度が必要であるが、それゆえに、落札者は高い価格での購入を余技なくされるという一つの矛盾がつきつけられた。 現在、この研究を発展させて、より安い価格で良い品質の財を購入するための入札制度を考案中である。 また、地球温暖化が国際的な信頼関係なくしては防止できないことを踏まえて、ヨーロッパと日本をターゲットにした国際的な信頼形成に関する研究を行った。実験の結果、オーストリア人も日本人も不確実な状況下での信頼形成に差がないことが確認された。
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Research Products
(4 results)