2008 Fiscal Year Annual Research Report
ALMAサブミリ波サイドバンド偏波分離ミクサ及びテラヘルツ振幅・位相測定系の開発
Project/Area Number |
07J10597
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神蔵 護 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 導波管型偏波分離器 / サイドバンド分離 / ALMA / サブミリ波 |
Research Abstract |
波長0.7mm帯(385-500GHz)における,導波管型の偏波分離器およびサイドバンド分離回路を開発した.これは,80台の高精度アンテナで構成される史上最大の電波干渉計ALMAに搭載される.これらの一体型を組み込んだ受信機のSSB雑音温度は,比帯域26%のほぼ全域で両偏波ともに4-8倍の量子雑音限界という,同波長帯で世界最高レベルの低雑音性能を達成し,15dB程度の非常に高いサイドバンド分離比を持つ事が実証された.これまで導波管型の偏波分離器として,薄い金属板を用いた211-320GHz帯のもの(Wollack et al.2003)が報告されている.常温時と冷却時の性能変化を減らし歩留まりを改善するため,偏波分離器にはダブルリッジ型を採用した.ダブルリッジ型はミリ波帯で開発報告があるが(Moorey et al.2006,Asayama and Kamikura2009),サブミリ波帯では世界初である.本開発の意義は,ALMAの波長0.7mm帯受信機の主要部品である,導波管型偏波分離器およびサイドバンド分離回路の量産に明るい見通しが得られた事である. この一体型の偏波分離器およびサイドバンド分離回路は,1)低損失化のために導波管の経路長を極力短縮している点,2)80台の量産に向けて,ダブルリッジ導波管やインピーダンス変換器などの導波管ステップの数が,加工誤差に対するロバストさと電磁界性能の両者から最適化されている点,が特長である.一体型にすることで別々の場合に比べ,経路長が水平偏波では51mm(60λg,λg:導波管内での波長)から32.75mm(38λg),垂直偏波では50mm(59λg)から38.5mm(45λg)へと短縮されている.
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