2007 Fiscal Year Annual Research Report
Mnの化学的性質を利用した初期太陽系進化過程の解明
Project/Area Number |
07J10601
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
城後 香里 Kyushu University, 理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 微惑星 / 始原隕石 / 二次鉱物 / マンガン / 酸素同位体組成 |
Research Abstract |
始原隕石は微惑星の一部と考えられ、その形成過程を保存する。CV隕石(始原隕石)は、鉱物学的特徴によって2種類に分類することができ、それは微惑星形成初期に受けた変成の程度の強弱を反映すると考えられている。先行研究により、変成の弱いCV隕石中に、比較的強い変成で形成され、主に変成の強いCV隕石中に存在する二次鉱物(ファイヤライト)を含む岩塊が観察された。前年度までの研究で、このファイヤライトの形成年代は、先行研究で報告されている変成の強い2つのCV隕石中のファイヤライトと同じ45.61億年前に形成されたことがわかった。これは、変成の弱いCV隕石中の岩塊に含まれるファイヤライトと、変成の強い2つのCV隕石中のファイヤライトが同一天体で形成された可能性を示唆する。すなわち、CV隕石中に観察される全てのファイヤライトが同一天体で形成された可能性が予想できる。 今年度は、上記の予想を検証した。この予想が正しい場合、CV隕石中のファイヤライトは全て同じ形成年代(45.61億年)を示す。そこで今年度は、程度の強いCV隕石(Y86009隕石)を研究試料とし、この隕石中のファイヤライトの形成年代を短寿命核種53Mnの壊変を利用して決定した。その結果、これまでに決定したファイヤライトの形成年代と一致した。これは、上記の予想を支持する。 さらに、同じファイヤライトの酸素同位体組成を測定した。その組成は、先行研究によって決定されている、変成の強いCV隕石中のファイヤライトと同じ質量依存同位体分別線上に乗った。これは、変成の強い3つのCV隕石中のファイヤライトが、同じ酸素同位体組成をもつ水溶液との反応で形成されたことを示す。すなわち、全てのファイヤライトが同一天体で形成されたことを示唆し、上記の予想と一致する。 以上から、今年度の研究により、未解明な微惑星の形成過程により強い制約を与えることができた。
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Research Products
(1 results)