2008 Fiscal Year Annual Research Report
Mnの化学的性質を利用した初期太陽系の進化過程の解明
Project/Area Number |
07J10601
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
城後 香里 Kyushu University, 理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 微惑星 / 始原隕石 / 二次鉱物 / 短寿命核種形成年代 |
Research Abstract |
始原隕石は微惑星の一部と考えられ、その形成過程を保存する。CV隕石(始原隕石)は、鉱物学的特徴によって2種類に分類することができ、それは微惑星形成初期に受けた変成の程度の強弱を反映すると考えられている。先行研究により、変成の弱いCV隕石であるVigarano隕石中に、比較的強い変成で形成され、主に変成の強いCV隕石中に存在する二次鉱物(ファヤライト)を含む岩塊が観察された。前年度までの研究で、このファイヤライトの形成年代は、変成の強いCV隕石であるMokoia隕石(Hutcheon et al.,1998),Kaba隕石(Hua et al.,2005),Y86009隕石(報告者のH19年度の研究)中のファヤライトと同じ45.61億年前に形成されたことがわかった。これは、変成の弱いCV隕石中の岩塊に含まれるファヤライトと、変成の強い2つのCV隕石中のファヤライトが同一天体で形成された可能性を示唆する。すなわち、CV隕石中の全てのファヤライトが同一天体で形成された可能性が予想できる。 これまでの研究では、変成の強いCV隕石と変成の弱いCV隕石中に存在する20-100ミクロンサイズの、比較的大きなファヤライトのみを分析してきた。しかし、CV隕石中には<20ミクロンの小さなファヤライトもたくさん存在しているため、今年度は、大きさに関わらず全て同じ形成年代(45.61億年)を示すかどうかを検証した。隕石試料は昨年度と同じY86009隕石を用い、約10ミクロンサイズのファヤライトの形成年代を短寿命核種53Mnの壊変を利用して決定した。その結果、これまでに決定したファヤライトの形成年代と一致した。これは、大きさ、隕石の種類に限らす、全てのファヤライトが同一天体で形成された可能性を支持する。 以上から、今年度の研究により未解明な微惑星の形成過程により強い制約を与えることができた。
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Research Products
(2 results)